私は学生時代に某大学の山岳部で本格的な登山を開始し、社会人になってからもチョコチョコ登山をたしなんでいる。
社会人になった約25年ほど前にテント(2人用エスパース)を購入した。
このテントをダマしダマし修繕しながらずっと使っていたのだが、2022年、ついにポール内のゴムが複数個所で切れてしまった。。。
テント本体もリペアシートで継ぎ接ぎだらけだし、さすがに修繕も限界だった。。。
2023年に早期退職も実行し、これから再び日本百名山をはじめ、日本各地の山に登ろうと計画しているタイミングだったので、最新のテントに興味津々でもあった。
本記事では、私がソロ登山用テントとして【プロモンテVL27(≒VL28‐4S)】を選んだ理由と、実際の使用レビューを紹介する。
この記事で得られる情報
- 筆者がテントを選ぶ際に重視したポイント
- プロモンテ「VL27(VL28-4S)」を選んだ理由
- プロモンテ「VL27(VL28-4S)」の実使用レビュー
私が2023年にVL27を購入した後、2024年にVL27はVL28-4Sに超マイナーモデルチェンジした。高さが5cm高くなった(100→105)のと付属品に予備ポールが一節ついたくらいで、他は基本一緒なので、本記事では同等製品として取り扱っている。もちろん、VL28-4Sも追加調査に加えているので、是非参考にしてほしい!
登山用テントで重視したポイント
社会人になってからの私の登山スタイルは基本ソロ登山だ。
妻は滅多についてくることはないのでこれからもソロだろう。
なので、今回もソロテントを購入すべくリサーチを開始した。
ソロテントを購入するにあたって、私が重視したポイントを下記にあげてみた。
ソロテント購入で重視したこと
- 自立式ダブルウォールタイプである
- 軽くてコンパクトである(重量1.5kg程度)
- ②と相反するが、極端に生地が薄い超軽量タイプは避ける
- ソロだけど二人用サイズ
- 長辺に入口があるタイプ
- テント場で目立つ(超ベストセラーモデルは避ける)
①ダブルウォール
登山用テントには大きく分けて、シングルウォールとダブルウォールタイプがあるのはご存じだろうか?念のため、ざっくり区別すると・・・
シングルウォール
1枚の生地で防水性と透湿性を担保するように設計されたテント。いわゆるゴアテックス等の素材が使われることが多い。生地1枚なので軽くてコンパクトで設営も簡単なところが主なメリット。デメリットは結露しやすい、前室がないので靴などの汚れ物の置き場がない等、居住性が悪いところ。
ダブルウォール
透湿性メイン機能のインナーシートの上に防水性メイン機能のフライシートで覆われた2枚の生地で設計されたテント。メリットとデメリットはシングルウォールの正反対になる。簡単に要約するとやや重くてかさばって扱いにくいが、居住性はいいってことだ。
私は学生時代の軍隊式登山を卒業し、今はのんびり登山を楽しみたい派なので、居住性は絶対に譲れない。
なので、ここは考えるまでもなく、ダブルウォール一択である。
②軽くてコンパクト
薄々わかっちゃいたけど、今回様々なメーカーのテントを調査して、最新テントの軽さとコンパクトさに改めて驚いた。
私が25年前から使っていた2人用エスパースは総重量2.5kgくらいあったと思う。
また、テント本体とフライもそれぞれ結構な体積を占有していて、ザック内では存在感たっぷりだったものだ。
今回のリサーチでは総重量1.5kg程度まで探してみたが、ほとんどのモデルがヒットしたので、ここは大きな差別化にはならなかった。
③超軽量タイプは避ける
②の軽くてコンパクトにはこだわるものの、総重量1kg未満の超ウルトラ軽量モデルはNGとした。
これらはいずれも極端に生地を薄くしているのが明らかだった。リアルに中にいる人が透けて見えそうなくらいだ。
さすがにここまで薄いと、突起物やひっかき等に対する強度を犠牲にしているのは目に見えている。
自分は常に丁寧に扱うから大丈夫と言う人もいるだろう。
あまい!
ベテラン登山家は理解できると思うが、山の上では常に腫物に触るように登山用品を丁寧に扱い続けることは不可能なのだ。
疲れていて不注意になることもあるだろう。また、気象条件が厳しい時はチンタラと活動している余裕がないことも多い。
ある程度雑に扱っても耐えてくれる装備でないと困るのだ!
なので、私は一定程度の軽さとコンパクトさは求めるものの、生地の強度やテントとしての耐久性も重視した。
④ソロなのに2人用
文字通りの1人用ソロテントの幅(長手方向ではない方)はどのメーカーも90cm程度だ。メジャーで90cmを確かめてみてほしい。どれくらい狭いか認識できるはずだ。
思ったより広いって?
登山ではそれなりの荷物があることも忘れてはいけない。
ザックをはじめ、シュラフや調理器具の他、コマゴマとした小物のスペースも必要だ。
寝るためのスペースだけではないのだ!
加えて、私の場合は82kgオーバーの筋肉おやじなので、一般の登山者よりも各パーツ、特に肩幅や胸板がでかい。
腹囲は80cm程度だが、胸囲は115cm弱くらいあるのだ。
余談ではあるが、いわゆる有名登山用品メーカー(モ社やノー社等)の衣類で私が着用できるサイズに出会ったためしがない。なので、登山ではいつもワークマンの4L等を着用している。レインウエアは唯一プロモンテの3Lが大き目だったので、着用している。。。
というわけで、私はソロ登山者ではあるが、テントは2人用がMUSTなのだ!
⑤長辺に入口
登山用テントには長辺に入口があるタイプと短辺に入口があるタイプがある。
どちらもメリットデメリットがあるので、何を優先するかと、最後はそれぞれの好みになるのだが、、、参考までに長辺タイプのメリットデメリットをあげると以下のようになる。
メリット
長辺タイプのメリット
- 出入り口が広いので、出入りがし易い
- 荷物の出し入れがし易い
- 居住性が良い(快適)
- ダブルウォールの場合、前室が広くなるので物置きや調理に便利。特に雨天時の効果は絶大!
デメリット
長辺タイプのデメリット
- 耐風性が弱い(入口を風下にした場合、面積が広い側面に横風を受ける形になる)
- テント設営面積が広くなる(込み合っているテン場では不利)
ちなみに、短辺タイプのメリットデメリットはココにあげた長辺タイプのメリット・デメリットの真逆になると考えて良い。
⑥テント場で目立つ
自分が購入したテントを紹介する記事を書いていることと相反する気もするが、、、人気のテント場であまりにも自分と同じタイプのテントが多いと、チョットイマイチな気分になりそうだ。
また、夜トイレに行って帰ってくるときなど間違えそうになることもあるだろう。
これは大人気のベストセラーテント、モ社のステラリッジを意識して書いているのだが、まあ、性能的にもコスパ的にも、日本の山岳で一押しのテントであるから致し方ない。
私は昔から同調を好まないタイプだ!
購入したのは「プロモンテ VL27(VL28-4S)」
というわけで、私の希望を全て満たしてくれたのが「プロモンテVL27(≒VL28-4S)」であった。
プロモンテはあまり聞きなれないメーカーかもしれないが、1970年代頃のヒマラヤ登山全盛期を支えたダンロップから派生したブランドであり、強靭さと軽量化の両立を売りにしている信頼と実績のあるメーカーだ。
私は先に紹介したレインウエアでもこのプロモンテの製品を使っていて、、、こちらもタフな使用に耐えてくれているので、とても良いイメージを持っている。
プロモンテのレインウエアを着て、藪漕ぎを何度もやっているが生地はビクともしていない。最近はやりの超薄型伸縮性レインウエアだとこうはいかないだろう!
プロモンテのテントにはVBシリーズとVLシリーズがあるが、ざっくり以下の違いがある。
VBシリーズ
超軽量・コンパクト・素早い設営と撤収が可能。居住性重視の山岳テントとしてはもちろん実力ギリギリまで歩きたいという方にオススメ。※
ただし、いずれもシングルウォールだ。
VLシリーズ
『軽いのに頼もしい』を徹底追及!!『オールシーズン使える』モデルが欲しいという方にオススメ。※
こちらはダブルウォールだ。
※メーカーHPからそのまま抜粋:http://www.hcsafe.co.jp/index.html
なので、当然VLシリーズの2人用モデル「VL27(VL28-4S)」を選んだわけだ。
もともとはブルー色しかなかった(と思う)が、2022年から私好みのオリーブ色がラインナップされた。今はオレンジ色とオリーブ色の2色展開となっている。
私は数年前から次に購入するテントは、「VL27(VL28-4S)」を中心にタイミングをうかがっていたのだが、ブルー色しか選択肢がなかったのが少々気になっていたのだ。
なので、これは本当に待っててよかった!!!
正直言うと、もう1年ほど待っていたら、VL28-4Sが買えたのだが。。。まあ、その分何度も実践で使っているので気にしないことにしている!?
ちなみに、この「VL27(VL28-4S)」はオールシーズン用なので、オプション販売されている冬用外張りを購入すれば雪山でも使用できる!
VL27とVL28-4Sの仕様比較
記事の冒頭で、私が購入した「VL27」と2024年に後継モデルとしてマイナーチェンジしたVL28‐4Sの基本性能は同等であると書いたものの、具体的に何が変わったのか気になる方もいるだろう。
そこで、それぞれの仕様を比較してみたので紹介しよう!
仕様比較でお分かりのように、基本的な仕様・性能は同じと見て良い。
どちらも二人用サイズなので、奥行(長手方向に対する幅)が120cmあり、でかい私でも十分な大きさだ。
生地厚みは、超軽量タイプが10~15Dを使っている中、フライは20Dを、グランド部には30Dを採用してくれている。
ココ、よくぞ後継モデルでも継承してくれた!何でもかんでも薄ければいいというものではないのだ!さすがクロウト好みのプロモンテ💛
違いにフォーカスすると、、、VL28-4Sは総高が5cm高くなっているので、居住性は確実に良くなっていると言えるだろう。
張り綱の材質が変更されているが、テクノーラもイザナス(超高分子ポリエチレン:東洋紡)も高強度かつ耐摩耗性にすぐれた材質なので、気になるところではないだろう。
しいて言えば、水分に対する性能がイザナス(VL28-4S)の方が向上しているかもしれない。
それよりも特筆すべきところは、予備ポール一節が付属されたことだ。これまではオプションで購入するか、自作のパイプを準備するしかなかったが、付属品としてついているのは大きい!これなら強風でポールが破損しても安心だ!願わくはそんな場面に遭遇したくはないが。。。
後継モデルのVL28-4SはVL27と同じく、いやVL27以上におすすめできる山岳テントだな!特にクロウトの方にはベストチョイスのテントだと思う。もちろん、初心者でもクロウトっぽく見せるために選ぶのもアリだ!
VL27(VL28-4S)使用感レビュー
ココからは、実際に購入したVL27の仕様感を紹介しよう!
使用感レビュー
私はお買い得感と本体との一体感のある専用グランドシート(こちらももちろんオリーブ色)もセットで購入した。
25年前のテント(エスパース)との比較印象で申し訳ないが、とんでもないコンパクトさと軽さに正直驚いた。
技術の進化はすばらしい。
また、色もいい。
私はザックも服もアーミー系統が多いのでイメージにピッタリだ!注)
注):遭難時に目立つという観点では保護色ではなくビビットな色の方が良いとされているのはもちろん知っている。だが、自然にも溶け込みたい。。。
今回、初めて吊り下げ方式のテントを組み立ててみたが、あまりにもサクサク設営できるので感動した。スリーブ方式だと、ポールを布に通していくのだが、この際ポールの連結部分が布の中で外れてしまい、やり直すことがよくあった。また、1本ずつ組んでいくので風が強いと危なっかしい時もあった。
組み立てに関してはこっちの吊り下げ方式が断然いいと思う!
次にフライシートを被せていく。
フライシートも難なく張れた。
テント場で夜引っ掛けないように、張り綱か自在を蓄光式に取り換えようと思っていたら、自在がすでに蓄光仕様になっていた。
これはよく考えられているな!
2人用を選んだので写真の通り十分な居住スペースが確保できている。これなら悪天候時の停滞などでも気分よく過ごせそうだ?
もしも1人用(VL17≒VL18-4S)の場合だったら・・・
このプロモンテVLにも1人用「VL17(≒VL18-4S)」がある。
ソロか二人用テントかで迷っている方は、1人用だとどんな感じなのか気になる方も多いだろう?
わかり易くシミュレーションしてみたので紹介しよう!
上写真キャプションの通り、ピッケルのシャフトがちょうど1人用テント幅90cmだ。
寝袋+30cmくらいだろうか?
床面の写真だけ見ると、意外とスペースあると思うかもだが、実際にはテント内の立体空間は四角形でないのがポイントだ。
このピッケルの位置から側面が斜めに立ち上がって三角形のような形状になる。
床面の面積とは広さのイメージが全く異なるのだ。
やはり1人用では窮屈だろう?
尚、1人用と2人用のテントの重さはわずか120gしか違わない。
圧倒的な居住性の差を考えたら、「VL27、VL28-4S」を選択した方がいいと思う。
使っていて気になる点はある?
テント泊に慣れている方はよくわかると思うが、縦走登山でテントを使っていると、朝テントを撤収する時にきちんと折りたたむことができないことが多々ある。
雨が降っていたり、風が強かったり、夜露で濡れていたりで、うまく収納袋に収まらないのだ。
プロモンテに限らず、最近の登山用品(レインウエアもそうだ)の収納袋は異常に小さいので、出すときはいいのだが、収納時に苦労することが多い。
プロモンテのテント収納袋も、使用感レビューで紹介したように新品の時は気にならなかったが、実践で何度も使っていると、もう少し大きければ良かったのにと思う。
なので、私は冒頭で紹介したエスパースの2人用のバカでかいテント収納袋を、そのまま再利用している。
テント本体はボロボロだったが、収納袋はばっちりまだ使える!
このように、別の収納袋を準備すれば対応できるだろう!
登山用具は自分で使いやすくカスタムするのが基本だ!
最後に
私は幸か不幸か物持ちが非常に良くて、、、今回のテントをはじめ、多くの登山用品が20年以上の年代物ばかりだ。
写真に一部登場したKAJITAのピッケルにいたっては30年物で未だ現役だ。
しかし、今回最新のテントを購入して、改めて性能の進化を身をもって実感してしまった。
いろいろと装備を新調した方がよさそうだという考えに変わっている。
やっぱり趣味の品物を吟味して選ぶのは楽しいのだ!
筋トレ目的なら好んで重い荷物を背負うのもアリだが、いくら私が日ごろから鍛えこんでいる筋肉おやじとはいえ、、、趣味の登山までわざわざ重い装備を好んで担ぐこともないだろう。
プロモンテ「VL28-4S」は「アリ」だと思う!
是非購入の参考にしていただければうれしい!
(数年後にテント場が「VL27、VL28-4S」だらけになったら、それはそれでチト困るが・・・)
日本三百名山の最新改版が2023年10月に上巻、2024年6月に下巻に行われた。前回は2017年だったので、私は購入を控えてずっと待っていた。おそらく次回は2030年以降に改版かと思われるので、購入するなら今だろう。
登山初心者でこれから趣味として定着するかわからない?って方は、最初は下記の道具レンタル屋を利用してみるのもいいかもしれない。面白そうだったら少しずつ購入していけばいいのだ↓
にほんブログ村
コメント