私は2023年に51歳で早期退職を実行した。
早期退職を考えてから実行に移すまでのノンフィクション物語を4回にわけて紹介しているので、興味がある方は是非下記の記事も訪問を!
早期退職を考えている人は、早期退職後にやるべきこともある程度事前に理解しておいた方がいいだろう。意外にやるべき手続きがたくさんあるのだ!
そういう意味では、退職した翌日から「完全に全てから解き放たれた!」と考えるのは少し早いかもしれない。
今回は私の経験も踏まえて、早期退職後の手続きでやるべきことを時系列で紹介してみた!
ちなみに、すぐに転職が決まっているか否かでも少し手続き内容が変わってくるが、本記事では私と同じく転職予定がない方(すぐには転職しない方も含まれる)のケースで紹介していく。
きっと参考になるはずだ!
ちなみに、筆者は2級FP技能検定に合格しており、日本FP協会にも正式に入会しているAFP認定者でもある!
早期退職後にやるべきこと
まず初めに早期退職後にやるべきことの一覧をまとめてみた。
優先度の高い順に並べている。
早期退職後にやるべきこと
- 健康保険証(カード)の返却
- 国民健康保険の加入手続き(任意継続や家族の扶養に入る手もある)
- 国民年金への切り替え
- 雇用保険の失業給付申請手続き
- 所得税の納付:(年末調整を行っていない方のみ対象)
- 住民税の納付:(未納付分がある方のみ対象)
- 確定拠出年金(DC)をiDeCoに切り替え
①健康保険証
期日:退職日翌日(できるだけ早く、勤めていた会社へ)
まず、会社員時代に使っていた健康保険証は退職後は一切使えない。見かけ上、退職直後に病院で使うことができたとしても、後で修正手続きが発生してとても面倒なことになる。
絶対に使わないようにしよう!
通常は退職最終日に会社に返却すればいいのだが、私の場合は、退職前に一週間ほど残っていた有給消化の休暇を取ったこともあり、最終出社日に健康保険証を返すことができなかった。
なので、退職日の翌日に書留の郵送で会社に返送した。
②国民健康保険
退職後は多くの人は国民健康保険に入るしかないと思っているかもしれないが、実はここでは3つのケースがある。
①国民健康保険に加入(期日:退職後14日以内、申請:市区町村役場)
最も一般的なケース。会社員の時は「健康保険」だったが、退職後は自営業者の方々と同じく国民健康保険に加入することになる。次に紹介する任意継続とどっちが負担が軽くなるかをよく鑑みて選ぶと良いだろう。
尚、国民健康保険には扶養の概念はないので、扶養されていた家族がいれば、その家族も別々に国民健康保険に入る必要がある。
②任意継続被保険者制度に加入(期日:退職後20日以内、申請:勤めていた会社へ)
会社員時代と同じ保険に継続して加入するケース。ただし負担金額はこれまで会社と折半していた分も全額個人負担となる点に注意。また、加入期間は最大2年間だ。
退職前に会社から案内があるので、加入する場合はその案内に従って手続きすればよい。会社によっては退職日の1カ月前くらいから受け付けている(私の場合もそうだった)。
ちなみに、保険料は退職時の標準報酬月額(上限アリ)×保険料率(健康保険料率+介護保険料率)で決まるので、単純に会社員時代の2倍※①になるとは限らない。
※①ここはネットで平気で間違った記述をしている記事をたまに見かけるので注意しよう。標準報酬月額には上限設定があるので、一律2倍になるとは限らない!
このように、健康保険組合には標準報酬月額の上限が設定されている(毎年見直しがある)ので、退職年度の年収が高かった方は、標準報酬月額を上回っている可能性が高く、上限額が採用されるだろう。
この場合、退職1年目については任意継続被保険者制度を使った方が負担が軽くなる※②。
※②これまでの任意継続被保険者制度は、一度手続きしたら2年間途中で切り替えることはできない2年縛りがあったが、2022年1月以降から、途中で自己都合切り替えが可能になった!これは神改定である!
退職年度が比較的高所得で、退職後は所得が低いと想定される方は、初年度は任意継続被保険者制度、2年目は国民健康保険という選択がベストチョイスとなるだろう!私もこのパターンだ!
③家族のだれかの扶養に入る(期日:退職後すぐ、申請:家族の会社)
配偶者や子供など、家族に第2号被保険者がいれば、その家族の扶養に入ることができる。これができれば一番負お得なので是非検討してみたいケースである。
ただし、本人の退職後の年収が130万円未満であることと、扶養する人の年収の1/2以下であることが条件。
後から紹介するように、退職後に失業給付金をもらっていると、日額3612円以上(これはかなり安い給料ベース)で年間見込み額がオーバーする。尚、受給日数は90日であろうが150日であろうが、考慮されない。
日額で判断される!
なので、中高年者で早期退職を実行する方は、失業給付金を受給している間は、ほぼこのケースは無理だろう。
③国民年金
期日:退職日翌日から14日以内、申請:各市区町村役場もしくは年金事務所
②の健康保険のところで、家族のだれかの扶養に入らない場合、厚生年金の「第2号被保険者」から国民年金の「第1号被保険者」に切り替える必要がある。
これは「日本国内に居住する20歳以上が60歳未満の全ての人は、国民年金に加入すること」が義務付けられているので、必ず加入しなければならない。
健康保険と同じく、会社員時代に家族を扶養(第3号被保険者)に入れていた場合、その家族も第1号被保険者に切り替える必要があるので注意しよう!
ところで、、、退職日翌日から14日以内とあるが、私が調査したところ、仮に少々遅れたとしても寛大な処置はしてくれそうである。不注意で2か月ほど遅れて申請した場合でも特にお咎めもなく処理してもらったそうだ。まあ、自治体や担当者によるところもあるかもなので、14日以内を遵守した方がいいのは言うまでもない!
④雇用保険の失業給付金
期日:離職票を入手したらすぐ(退職後約1カ月目安)、申請:所轄のハローワーク
早期退職したら必ず失業給付金申請の手続きを行おう。私の周りには、自己都合退職の場合、もらえないと考えている人が意外に多かった。これまで何十年もお高い雇用保険料を払い続けてきたのだから、シッカリもらおう!
念のため、自己都合退職でもらえる条件を表にまとめた。
被保険者期間 | 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
尚、給付金がもらえる期間は退職日の翌日から1年間だ。上の表の期間よりも、この1年間の方が優先されるので、できるだけ早めにハローワークに行って手続きを開始しよう。
とはいうものの、手続きには会社から離職票を受け取る必要がある。私の場合この離職票がなかなか来なくて、モヤモヤの日々を送っていた。結局約1カ月後くらいに郵便で届いた。
いろいろとリサーチしてみると、1カ月前後は普通のようだ。なので、焦る気持ちを押さえつつ、退職後1カ月くらいを目途に届く離職票を持って、所轄のハローワークに申請するといいだろう。
150日の給付期間の場合でも1年間に対しては十分に余裕はある。
⑤⑥所得税・住民税
所得税
まず会社員時代の所得税は、前年の総所得から推定された仮の税率(財務省が告示している源泉徴収税額表)に則り、当年の所得に対して課税される「現年所得課税」で徴収されている。
実際の総収入は年末まで確定しないので、仮の税率で徴収した所得税額とのズレを年末調整で修正しているのだ。
なので、会社で年末調整まで完了しているタイミングで退職された方であれば、基本特に手続きをする必要はないだろう。
年半ばで退職し、年末調整していない方は、総収入とのズレが生じている可能性が高い(ほぼ確実だろう)、この場合は確定申告(毎年2/16~3/15と決まっている)をする必要がある。
おそらく払い過ぎているので戻ってくる。
住民税
住民税は、前年の1月~12月の1年間の所得に対して、当年度の税額が決まる「前年所得課税」となっている。下記のように、退職したタイミングによって、対応が異なる。
1月~5月に退職した場合
退職時に5月までの未納となっている月分の一括徴収(天引き)が原則となっている。尚、会社員のように給与から毎月天引きされる方式を「特別徴収」という。
6月~12月に退職した場合
特別に会社に対して申し出を行わない限り、翌年の5月までの未納分について、市区町村役場から納付書が退職後に送られてくるので、これに従って納付する。これを「普通徴収」といい、会社員ではない事業所得者が納付している方式と同じである。
尚、会社によっては申し出により、退職時に天引きすることもできる。
確定拠出年金(DC)
期日:退職日翌日から6カ月以内、申請:運用期間
会社員ならほとんどの方が確定拠出年金(DC)に加入していると思う。企業が掛け金を拠出し従業員が運用しているのだが、節税効果が大きいので、個人で限度額いっぱいまで上乗せしている人も多いだろう。
早期退職すると当然ながら加入資格を失うので、iDeCo(個人型確定拠出年金)への移換が必要である。
iDeCoは多くの証券会社含め、銀行でも口座開設できるので、お気に入りのところで始めればいいだろう。運用管理コストが低く、商品ラインナップが揃っているところがいい。
何もしないで6カ月間放置していると、自動的に「国民年金基金連合会」という組織に強制的に移換させられる。こうなると運用指図ができないし、移換時以降も毎月管理費が引かれ続ける。。。なので、このケースは絶対に避けよう!
尚、移換後も掛け金を掛け続けるか、運用だけにするかについては、退職後のそれぞれの事情で変わってくると思うが、退職後の所得が少なく所得税額控除が見込めない方は、掛け金分の所得控除メリットが得られないので、運用だけにしておいた方がいいだろう。
最後に
以上、早期退職後にやるべきことを紹介してきたが、意外にやることがあるのがお分かりいただけただろう。
会社員時代は、公的な書類・手続き対応は会社が代行してくれていたが、早期退職後は当然全部自分で処理しないといけない。
ほとんどの人が慣れていない作業なので、戸惑うことも多いだろう。
私の場合は、AFP資格者なので一応知識は持ち合わせているが、実際に自分でやることはそうそうないので、実践演習とばかりに楽しんで処理していた。
まあ、早期退職後は会社員時代と違って上司や部下にせかされることもない。それなりに時間もあるはずなので、ゆっくりと着実にこなしていけばいい。
このマインドがサイコーに心地良い!
早期退職後にやるべきことが分かったところで、今度は早期退職実現に向けて動き出そう!
検討を祈る!
退職手続きそのものが煩わしくて思いとどまっている方もいるだろう。だが今は便利な退職代行サービスがある。各ケース毎に最適な代行業者を調査しているので、是非こちらも↓
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