最近は毎日のように熊出没のニュースが流れている。
人里でさえこのような状況なのだがら、山の中はもっと状況が悪いだろう。熊のテリトリーにわざわざ入っていくのだから。
ソロ登山を趣味としている私にとっても、最近は遭難よりも熊との遭遇の方が最大の懸念事項になっている。
私は空手家(だった)で、日ごろから鍛えているので、以前は熊くらい・・・と豪語していたが、そうも言ってられないと感じてからは(後で紹介する)、自分なりに対策を講じるようになった。
今回はこの心境の変化と自分なりの対策について紹介する!
これからの登山者は、「熊と遭遇する前提」で準備と心構えをしておいた方がいいだろう。
熊との遭遇確率ってどのくらい?
一般の登山者で、実際に熊と遭遇したことがある人ってどれくらいいるのだろう?
私の周りの登山を趣味にしている人(といってもそんなに多くないのだが)に聞いてみると、実際に遭遇した人は一人もいなかった。
私はというと、30年程の登山経験があるが、たった一度だけ遭遇したことがある。
しかも2022年極最近のことだ。
場所は東北地方のマイナーな里山だった。
これまでに、北海道の大雪山系を黒岳から入山し~富良野まで4泊ほどかけて縦走したことがあるが、ヒグマに遭遇どころか、姿すら見ることはなかったのに。。。
そういう意味では熊に遭遇する確率はかなり低い?、いや低かったと言えるだろう。
最近の状況から想像すると、過去のデータは全くあてにならない可能性が高い。
実際に私が遭遇したのも極最近だ。
私の場合で言うと、遭遇確率は30年間で1回(登山回数はもはや覚えていないほど多い)ということになるのかもだが、今後の10年間では10回以上になるかもしれないのだ。
熊との遭遇確率はかなり高まっていると認識しておいた方がいいだろう!
熊に対する認識の変化
2022年初秋、某東北地方のマイナーな山(1000m級だ)にソロ登山(いつもソロだ)にでかけた。
私の登山は、基本朝一で誰にも会わない時間に登り始めることが多く、この日もちょうど空が明るくなってきた5時台から登山開始していたと思う。
登り始めて30分くらい経った頃、登山道の前方約30mくらいのところの茂みが、ガサガサしていることに気づいた。
最初はサルかと思って、無視して再び歩き始めようとしたときに、でかい黒い物体が見えたのだ。
黒い物体は間違いなく熊(本州なのでツキノワグマだろう)だった。
大きさははっきりしないが、だいたい1.2mくらいのように見えた。
1.2mというと大したことないと思うかもだが、熊は幅と厚みがあるので、とんでもなくデカく見えるのだ。例えるならば大型の牙をむいた猟犬に、筋肉をべったりと張り付けたようなイメージだ。
冒頭に記載したように、私は空手家(だった)で、格闘技大好き人間なので、熊が襲ってきたら鼻っ柱を正拳で殴ってやろうといつも思っていた。
だが、実際に目の前に現れた熊の姿見て、「これは簡単なことではないな!」と認識した!
私だって身長こそ平均的であるが、幅と厚みは普通の男よりもだいぶデカく、人間基準ではパワーもある。
だが、この熊ってやつはそれ以上の何とも言えない威圧感を感じた。
パワーで50年以上も生きてきた人間にはなんとなくわかるのだ。
熊をパワーで封じこめることは100%できないだろうと確認した!
この時、私はたまたま両手にストックを持っていたので、向かってきたら正拳突きの代わりにストックで突いてやろうと身構えていたし、そばにあった手頃な石を持ち、手始めに投石で対抗してやろうと冷静に戦闘能力を高めていた。。。
幸い、熊の方は私にあまり興味がなかったようで、、、さかんに地面を掘っているのか餌をさがしているのかしているだけで、しばらくするとどこかに消えていった。。。ふう!
熊との遭遇対策
実際に熊に出会って、私は認識を大きく改めざるをえなかった。
一番の対抗手段として考えていた「鼻っ柱への正拳突き」が難しそうだと分かったからだ!
これ以降、以下の対策を実行することにした。
熊対策
- ザックに鈴をつける(普通の登山者はすでにやっているだろう)
- 定期的にムダに音や声を出す
- 登山ナイフを胸ポケットに入れておく(最近買い替えた)
- 熊除けスプレーを腰回りに装備しておく(北海道遠征時は必ず装備する予定だ)
①ザックに鈴をつける
一般の登山者はすでにザックなどに鈴をつけている人がほとんどだろう。これまでに比較的マイナーな山で出会った登山者で、鈴をつけていない人は私くらいだったような気がする。
私は山登りは静かに登りたい派なので、この「チリン、カラン」音が耳障りに感じており、つけることを好まなかったのだ。
だが、この熊遭遇事件のあと、認識を180°改めた!
熊は出会い頭に遭遇するのが一番危険だということはよく知られている。
私はザックに鈴をつけるようにした。
熊よけ鈴+ホイッスル
ネットを見ると、いろいろな熊除け鈴があるが、私が購入した商品を紹介しよう!
購入の前提として、音(これは口コミ)、色、大きさはもちろんであるが、普段は音を鳴らさないように消音機能があることが絶対条件だった。
この商品は鐘を持ち上げてマグネットでリードとくっつけると簡単に消音できる優れものだ。
この機能だけだと、ネットでもいろいろな商品があって迷うところだが、最後の決め手は色の質感だった。
マッドなブラックの質感が高級感漂う感じですばらしい(写真で伝わるだろうか?)。
音も無駄に耳につくほど大きくなく、かといって小さくもないので、ちょうどいい。
ホイッスルも十分な音量なので、万が一の時にも役立ちそうだ!
これ、まじめにおすすめ!質感は趣味かもだが、大きさ・軽さ・音も登山にちょうどいいと思う!
②定期的にムダに音や声を出す
見通しが悪いところでは無駄に気合を入れるように吠えたり、手や足音を鳴らしたりするよう心がけるようになった。
とはいいつつも、私は無駄に気合を入れるのが癖なので、熊に遭遇する前から登山中に疲れてくると、よく「ライトウエイトベイビー」と叫んでいる。ライトウエイトベイビーを知っている人はチョットした筋トレマニアだろう。往年のMr.オリンピア、ロニーコールマンが超高重量スクワットをやる前に叫んでいる言葉だ!
③登山ナイフを新調
「鼻っ柱への正拳突き」に難しさを感じたのは、当てにくそうだというのもあるが、当たらなかった場合に悲惨なことになりかねないというのもある。
そのまま腕をかまれて引きちぎられるリスクを感じたのだ。
もちろん今でも鼻っ柱を狙う気持ちは変わっていないが、手段としては正拳ではなく、より距離を確保しながら多彩な攻撃ができる「登山用ナイフ」に変更した。
登山用ナイフについては、2023年に発生した「北海道大千軒岳(1072m)の消防隊員と熊の格闘ニュース」を耳にして、実践での有効性が確信に変わった!北海道ニュースUHB
この時の熊は、この事件の直前に同じ場所で、男性登山者を襲って殺したあと、大部分を食べていたことも衝撃を助長した。
かなり大きなニュースで取り上げられていたので、記憶に新しい方も多いだろう。
ちなみにこの消防隊員は、刃渡り5cmのナイフで熊の目元と喉元を刺して撃退したそうだ。
これはこれで私にとってはすごく勇気づけられる出来事だったのだが、驚くべきは登山者側は3人もいて、それぞれ火薬玉を鳴らす等、こちらの存在をアピールしながら登山していたにもかかわらず、熊の方から向かってきたという点だ!
こうなると、いくら鈴をならそうが大声で「ライトウエイトベイビー」と叫んでいても、全く意味をなさないではないか!
一般的には向かってくる熊には、「うつ伏せになって首の後ろに手を回して防御姿勢でやり過ごす」のが教科書的な回答である。
だが、私は座して大けがを負うよりはなんとしても一矢報いたい!
もちろん、普通の登山者は教科書通りにした方がいい。真似しないでほしい!
熊に遭遇してからこの大千軒岳のニュースを見るまでは、偶然にも私も同じく刃渡り5cm、全長15cmほどのスイスナイフをポケットに入れて登山していた。
このナイフは20年以上前から調理用に使っていたものだ。
特に私の大好きなサラミソーセージを切るときなどに重宝している。
だが、大千軒岳の事例を受けて改めて考えてみると、チョットというかだいぶ心もとない気がしてきたので買い替えることにした!
熊対策としてもそうだが、メインの調理用としても切れ味が落ちてきているし、写真でもわかるようにメッキ剥がれや錆もあるので、買い替えるにはちょうどいい「きっかけ」と「タイミング」であった。
買い替えにあたって、私が重視したポイントは下記だ!
登山用ナイフ新規購入のポイント
- 軽量である(100g以下)
- 折りたたみ可能で荷物にならない
- すぐに使用できる(瞬時に刃が開く)
- 刃がロックできる
- 頑丈な造り
- 全長20cm以下で、刃渡りは7cm以上ほしい
登山目的と両立できそうなナイフは?
もちろん、熊対策だけを考えたら、もっとデカくて折りたたみ式ではない固定刃ナイフがいいに決まっている。
だが、あくまでも登山が目的であり、マタギや猟師のように動物を狩ることが目的ではないのだ。
無駄に大きくて重すぎると歩行時に邪魔になるし、メインの料理でも使いにくくなるようでは意味をなさない。
と言いつつも、「熊遭遇時の最後の手段かつ信頼できる相棒」として最低限の機能がないと心もとない。
特に今持っているスイスナイフは持ち手も刃渡りも短すぎるし、刃がロックできないので、硬いものに当たった時に、当たり所によっては自爆の恐れがある。。。
以上の条件でリサーチした結果、下記の商品に行き着いた!
この商品は日本製であり、造りがしっかりしている。
早速紹介しよう。
チャンピオンツール フォールディングナイフ商品レビュー
まず、手に持った瞬間にスイスナイフとは大きな違いを感じた。
ほどよい重量感とD2鋼を採用した刃は明らかに強靭で、造りも頑丈だ。
今見ると、スイスナイフはおもちゃに見えてしまう。
また、柄の突起(レバー)を押すと自重で瞬時に刃が開き、開いた瞬間にそのままロックされる。
ロック解除は解除レバーを軽く横に押すだけだ。
はっきり言って、これは想像以上に良い。さすがメイドインジャパン!
これまで何度も登山に携帯しているが、胸ポケットに入れておいても全く違和感もなく邪魔にならない。もちろん登山に行くたびに、いつでもすぐに戦闘できるように思い立ったら都度、ガンマンのような練習をしている。まだ幸い熊には出会っていないが。。。
2024年11月追記:その後、私が好んで登りに行くマイナーな低山山域では、ますます熊の出没が目撃されるようになってきた。このような山域に限ってはナイフをバージョンアップさせた。こちらの記事も合わせて訪問を!
④熊除けスプレーを携帯(今後検討中)
本州・四国のツキノワグマに対しては、使わなくても①~③で何とかなりそうな気はしているので、私はまだ導入していない。
もちろん無傷で助かるためには絶対あった方がいいのは間違いないが。
ツキノワグマ用のスプレーは下記↓
だが、北海道のヒグマは別だ。
過去の北海道遠征では何も持っていなかったが、次回(いつになるかは未定だが)遠征するときは、絶対に持っていくことにすると心に誓っている!
何しろヒグマはツキノワグマとは比べ物にならないくらいデカいので、接近戦では覆いかぶさられるか、鋭い爪で一掻きされるかでやられる可能性が非常に高い。
この時複数人がいると、この瞬間に勇敢な別のメンバー(大千軒岳の消防隊員のケースもそうだった)が攻撃できるかもだが、ソロ登山だと一方的にやられ続ける可能性が高く、生還することも難しいだろう。
なので、まずは接近させないことが重要であり、5~10mほどの遠距離から効果を発揮する熊除けスプレーは非常に有効なのだ!
ヒグマ用のスプレーは下記。ツキノワグマ用よりも強力だ↓
※最近の熊騒動で、在庫が少ないらしい(Amazonしかないかも?)。早めに入手しておいた方がいいかもしれない
最後に
今回は私が熊に初めて遭遇してしまってからとっている熊対策について紹介した。
これ以外にも、もしストックを手にしていれば、最初に私がとっさに取った行動のようにストックでの突きや投石も有効なのかもしれない。
ストックは軽いので、たたくというよりは突きの方が効果的だろう。この場合も狙うのはもちろん「鼻っ柱」だ!
ちなみに、熊との出会いに限ったことではないが、人間はいざというときに複雑なことはできないだろうし、練習したことしかできないだろう。
なので、普段から熊との遭遇を前提に、想定訓練をしておいた方がいい。
とまあ、熊を撃退することばかりを書いてきたが、熊の領域に人間が侵入しているのはその通りなので、熊にとってはいい迷惑だろう。できるだけ熊の邪魔にならないように、人間側が謙虚に行動することを忘れてはいけない!
それでもどうしようもない時は、、、生還するために準備してきたことを全力でやるだけだ!
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