言うまでもなく、登山者にとって腕時計はかかせないアイテムの一つだろう。
今はスマホがあるからわざわざ時計なんかいらないのでは?と思うかもだが、それは下界だけの話だ。
登山中はいやでも時間に敏感になる。
特にソロ登山者は、全てのタイムスケジュールを自分一人で判断する必要があるので、よけいにそうだろう。
GPS地図アプリでのルート確認ならまだしも、時間確認のためだけにイチイチスマホをポケットから取り出して液晶画面を付けて・・・などしたくないのだ。
そもそもスマホは万が一のためにバッテリーを節約しておきたいので、行動中の使用頻度はできるだけ少なくしておいた方がいい。
特に電池性能が著しく低下する冬は。
本記事では、私の30年余りの登山経験で感じた、「登山用時計に本当に必要な機能」について紹介する。
これらの機能を備えたモデルとしてカシオのプロトレックを一押しとしておすすめしたい!
GPS機能について
まず最初の入り口として、GPS機能ありかなしかで大きく意見がわかれるところだろう。
最近はスマホの地図アプリだけでなく、登山用時計にもGPS機能がついているモデルが多く商品化されている。
そこで、登山用途としてのGPS付き時計のメリットとデメリットを以下にあげてみた。
GPS機能のメリット
GPS機能のメリット
- 手軽に&頻繁に位置確認(ルートナビゲーション)ができる
- ①に関連するが、ルートから外れる危険性が少ない(リカバリーが早い)
- 心拍数等身体的な記録や確認がリアルタイムにできる
- 見た目や使用感がかっこいい?
メリットは何といってもリアルタイムに位置確認ができるところだろう。
登山中に登山道をロストしたことがある人なら、その心細さはよくわかるはずだ。
じつは、私もとある1500m級の残雪期の山で道迷い状態に至ったことがある↓
頻繁に現在地を確認できれば、結果として道迷いのリスクも減らせることができる。
また、最近は心拍数などの生体記録もリアルタイムに取得できるモデルがほとんどなので、自分の体調やペース配分を客観的にコントロールすることができるのも大きなメリットだろう。
GPS機能のデメリット
GPS機能のデメリット
- 電池の持ちが悪い(頻繁に充電する必要がある)
- サイズが大きい
- ②とはいえ、スマホ地図アプリに比べて小さく見づらい
- 重い
- 価格が高い
デメリットの筆頭は電池の持ちが悪いことだろう。
行動時間が数時間程度の日帰り登山であればさほど気にすることはない。
だが、テント泊縦走や、寒い時期の長時間行動時は気にする必要がある。
加えて、電池の経年劣化の問題もある。
また、GPSモデルは必然的にサイズが大きくて重くなる。
サイズが大きいと登山中に邪魔に感じることがある。
まあ、サイズが大きい方が表示盤が見やすいので逆に良しとする人もいるので、これは好みの問題だろう。
ただ、いくら表示盤が大きくても、地形図表示機能としてはスマホにかなわない。
加えて中高年になると、少なからず老眼になってくるので、小さいと本当に見づらいのである。
私はGPSなし派!
以上のメリット・デメリットを十分に勘案してGPSが必要か否かを選択すべきであろう。
ちなみに、私は登山用時計にはGPS機能を求めない派である!
なぜならば、メリットの多くはどっちみち持っていくスマホで代用できるし、デメリットの影響が大きすぎるからだ。
そこで、ここからはGPS機能なし前提で、登山用時計に本当に必要だと思う機能について紹介していく。
登山用時計に本当に必要だと思う機能
私が登山用時計に必要だと思う機能を以下に示した。
登山用時計に必要だと思う機能
- 視認性が良い
- 高度計機能がある
- 方位計機能がある
- 行動中に誤作動しない(不用意にボタンが押されない)
- 耐衝撃性・防水性能が優れている
- ソーラー充電できる
- 表示切替操作が直感的で簡単
- 軽くてコンパクトである
- ライト使用時に見やすい
- アラーム機能がある(これはどの時計もあるだろう)
文字盤の視認性:デジタルかアナログか?
要素の筆頭に視認性をあげた。
これは万人に理解できるだろう。
時計としてだけの視認性の良さならば、直感的にはアナログの方がいいかもだが、デジタルも数字が大きいので、十分に直感的だ。
だが、最近アナログで気になるのは、高度や日付等、時計以外の機能で表示されるデジタル表示盤が極端に小さい点である。
実は、私は40代半ばまではアナログ派だったのが、40代後半からは、アナログのデジタル表示盤が老眼でよく見えなくなってきたので、、、必然的にデジタル派に変更した。
なので、目の良い若い人はアナログもアリだと思う。
時計の三大機能
よく登山用時計の三大機能として、「気圧計」「高度計」「コンパス」が言われるが、私は気圧計表示に関しては使ったことがないし、これからも使わないだろう。
そもそも高低差で気圧は刻々と変化するので、行動中の天気変化を気圧計で予測するなどナンセンスである(と理系出身の私は思っている)。
なので、私は天気は別の方法で判断することにしている。
似たようなことは高度計にも言えるが、高度計は高低差の気圧変化を高度に換算しているだけなので、当日の登山口で補正さえすれば、その後の誤差は小さくなり十分に信頼できるだろう。
何よりも、登山中に高度が変わるのを見ていると楽しい気分になるし、モチベーションアップになるのだ!
行動中の誤作動
これについては声を大にして言いたいことがある!
登山ではグローブをはめていようがいまいが、岩や木を手で掴むことが多い。
この時、手首が曲がるため、時計のサイドボタンに手の甲が当たることが多い。
私は一時期、登山用時計メーカーとして有名なSUUNTO(スント)のコア オールブラックを使っていたことがある。
これは見た目がカッコいいし、視認性もすこぶるよさそうだったので、いつものように十分に吟味して選んだ商品だった。
確かにカッコよくて視認性も良かったのだが、ボタンの誤作動が多く、非常にストレスのたまるモデルであった。これは、実際に使用してみるまで気づかない盲点だった!
原因は明確で、グローブをはめた状態でも押しやすくするためなのか、見た目をスッキリさせるためなのか定かではないが、サイドボタンが裸になっているためだ(下画像左の黄色矢印)
おかげで、時計表示で行動しているのに、フッと見るといつのまにか高度計表示になっていたり、方位計計測中でグルグル方位針が回って無駄に電池を消費していたりと、非常に使いにくかった。
SUUNTOに限らず、海外メーカーの時計は、ボタンガードがないモデルが多い気がする。
釣りやキャンプなら気にならないと思うが、登山用時計にはボタンガードは必須機能だ!(と私は思う)。見た目の洗練さに惑わされてはいけない!
ソーラー充電
これもSUUNTOコアを引き合いに出してSUUNTO派には申し訳ないが、コアはリチウムコイン電池仕様(いわゆる一次電池)だった。
私は、この時計でテント泊縦走をしたことがあるが、あろうことか、1日目で電池切れになり、時計なしで行動を余儀なくされたことがあった。
入山前に比較的新しい電池に取り換えていたにもかからわずだったので、これは想定外のショックであった。
以来、ソーラー充電機能は外せない機能と認識している。
日本の山はやっぱりカシオ プロトレック!
これまでに紹介した機能を全て満足する時計は、カシオのプロトレック登山用モデル「CIMBER LINE(クライマーライン)」一択だ。
クライマーラインシリーズにもいつくかモデルがあるが、私がおすすめする3選を紹介しよう。
商品 | 評価 (筆者基準) | 発売日 | 価格/円※① | サイズH/W/T /mm | 重量/g | 高度/方位/気圧 | ソーラー充電 | 防水/耐低温 | その他 |
PRW-35Y | (5 / 5.0) | 2023年5月 | 32340 | 51.2/44.6/13.0 | 45 | 〇 | 〇 | 10気圧/-10℃ | 最小設計 バイオ樹脂 |
PRW-3400 | (4 / 5.0) | 2022年7月 | 30800 | 54.7/51.7/14.6 | 63 | 〇 | 〇 | 10気圧/-10℃ | 二重液晶 バイオ樹脂 |
PRW-61 | (4.5 / 5.0) | 2022年3月 | 41580 | 51.0/47.4/14.7 | 53 | 〇 | 〇 | 10気圧/-10℃ | バイオ樹脂 |
PRW-35Y
私の一押しモデルである!
私は手首周りを縛り付けられるのを好まない。
できるだけフリーな感覚で登山したい派なので、軽くてコンパクトな時計が好きだ。
このモデルはクライマーライン最小サイズであり、もちろん他社の登山用時計と比べても最小レベルだ。
それでいて、登山で必要な機能は全て満たされている。
もちろんSUUNTOコアでストレスを感じたボタンの誤作動も、このモデルに変えてからほとんど起こったことがない。
PRW-3400
より大きい文字盤が好みの方はこちらも選択肢に入ってくる。
その他35Yと大きな違いは、方位表示と時計表示を分けた二重液晶を採用している点である。
なので、方位表示はより見やすくなっている。
また、ボタンも大きいので冬山など分厚いグローブをはめて使うことを想定しているなら、こっちの選択もアリだろうが、一般的な登山者の場合はPRW-35Yの方がいいと思う。
PRW-61
アナログ表示が好みならこのモデルが一押しだ。
私も老眼になる前だったら、このモデルにしたかった。
機能的にもサイズ的にも問題ない上、色が私の大好きなグリーン系統であるものそそられる。
また、あまり知られていないかもだがアナログ式には、仮に方位計が壊れても方位を知る術がある(太陽が出ている日中に限るが)。
方法はとても簡単だ!まず時計の短針を太陽の方向に向ける。文字盤の12時と短針の中間が南になる。理屈は※・・・ともかく、覚えておくと便利だ!
※12時の短針は真南を指す。これを南基準とする。この状態で時計を放置すると、短針が太陽の位置とみなして動いていくのだが、時計は12時間で1周するのに対し、太陽は24時間で1周する。なので半分に補正しているってわけだ!ちなみに、もしも24時間表示の時計ならば、短針と太陽の位置は同じってことになる。
念のため繰り返すが、くれぐれもこのモデルは老眼の方は購入しないように。
老眼の方、もしくは老眼になりそうな中高年の方はPRW-35Yを選択するのが正解だ!
最後に
以上が、私がこれまでの長い登山経験で感じた「登山用時計に本当に必要な機能」の全てである。
登山用時計については、ネットで様々な「おすすめ〇〇選」記事が出ているが、ボタンガードについての重要性を熱く語っている記事が皆無であるのは何とも不思議だ???
確かに私はプロフィールの通り、全身を余すことなく鍛えている筋肉おやじなので、手の厚みも他の人よりも分厚いが、だからといって極端にボタンが押されやすいとも思えない。。。
私はボタンガードは登山用時計の最優先機能であると声を大にして言いたい!
そういう意味で、今回紹介したカシオのプロトレック クライマーラインシリーズは、登山者目線でよく考えられている。
少なくとも日本国内の登山ではカシオのプロトレック一択で決まりだと思う!
これから登山用時計を購入しようとしている方は、是非参考にしていただければうれしい!
日本三百名山の最新改版が2023年10月に上巻、2024年6月に下巻に行われた。前回は2017年だったので、私は購入を控えてずっと待っていた。おそらく次回は2030年以降に改版かと思われるので、購入するなら今だろう。
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