筆者は、令和6年度第二種電気工事士上期の学科・技能試験に一発合格した。
試験勉強をしていく中で、この試験は中学生レベルの知識と、試験のコツさえ掴めば独学で誰でも合格できると確信した。
本記事ではこれから第二種電気工事士試験の合格を目指す方のために、私が試験勉強をしている時に感じたことと、独学かつ最短の時間と労力で一発合格するコツを紹介したいと思う。
第二種電気工事士試験とは
第二種電気工事士試験は、電気工事を行うために必要な国家資格の一つで、この資格を持っているといわゆる一般用電気工作物(600V以下)の電気工事を行うことができる。
学歴や職歴は関係なく、誰でも受験することができる。
試験は学科(筆記)試験と技能試験があり、それぞれ上期と下期の年2回実施される。
第二種電気工事士試験の難易度
第二種電気工事士試験の難易度を知るには、各年の合格率の推移を調べるのが一番だ。
以下に、令和の時代に入って以降の学科試験と技能試験、およびどちらも合わせた全体の合格率を示した。
年度 | 学科試験/% | 技能試験/% | 全体/% |
---|---|---|---|
令和元年 | 65.9 | 65.3 | 53.6 |
令和2年 | 62.1 | 72.4 | 50.4 |
令和3年 | 59.2 | 72.8 | 54.1 |
令和4年 | 56.0 | 72.6 | 48.9 |
令和5年 | 59.4 | 71.1 | 50.5 |
令和6年上期(私受験) | 60.2 | 71.0 | 51.3 |
これを見ると、ざっくり学科試験が60%、技能試験が70%、全体で50%程度の合格率であることがわかる。
受験資格条件がない国家資格試験で50%前後の合格率と言えば、比較的高い方だろう。
つまり、それほど難しい資格試験ではないということを示している。
2024年10月追記:私が受験した2024年上期の結果も上の表に追記した。例年並みの難易度だったようだ!
試験の種類
すでに紹介したように、第二種電気工事士試験は、学科試験と技能試験の2種類からなる。
技能試験は学科試験の合格者と、学科試験免除者だけが受けることができる。
なので、まずは学科試験合格に全力を尽くすことが必要だ!
ではそれぞれの試験について紹介しよう。
学科試験
上記の通り、出題形式は四拓のマークシート方式だ。
問題数は上の7科目から全50問で、これを2時間で解答していく。
2時間も座ってジッとしてられないって方、私もそのタイプだ。だが、安心してほしい。この試験に2時間も目いっぱいかける人はほとんどいないだろう。私が受験した時は、次に紹介しているCBT方式で同時刻に15人くらいで受験していたが、1時間ちょっとかけた私が一番最後だった。。。たぶん計算問題まで全部手を付けたからか???
会場試験とCBT方式試験の選択
最近の学科試験では、各都道府県内にわずか数カ所程度の試験会場で実際に紙と鉛筆を使って受験する会場試験と、事前に登録しておいた試験会場で、パソコン端末上でマウスを使って試験をするCBT方式を選択することができる。
CBT方式の試験会場は各市町村単位で複数設けられており、試験日や試験時間も複数の候補から選ぶことができる。
また、会場試験日の日程よりも2週間程度早く受験できるのも魅力だ。
試験終了直後に自分の端末上に正解率がでてくるので、合格か不合格かがすぐにわかる(正式合否は後日通知)。
なので、合格ラインを超えていた場合は、その日から技能試験の準備に集中することができる。
先に紹介したように、私もCBT方式で受験した。皆さん同じ考えらしく、人気のある試験会場・試験日・試験時間はすぐに予約が埋まるので、予約解禁されたら数時間以内に登録した方が良い。私も予約解禁初日に登録したのだが、第一候補時間はすでに埋まっていた。。。
鉛筆を持たないと頭が働かないなど、特段の理由がない限り、CBT方式での受験をおすすめする。
技能試験
指定された配線図(単線図)をもとにして、各自で用意した作業用工具を使い、試験時に個別支給された材料で電気回路を完成させる施工試験。
ココに添付した配線図は、私が実際に受験した会場の2024年上期の問題(候補問題No.12)である。
試験時間は40分だ。
技能試験は学科試験と違って時間が短い。練習ではどの問題も15分程度で仕上げる自信があっても、本番では慎重に作業するのであまり余裕は感じられないだろう。私がそうだった。
技能試験に出題される配線図は、事前に候補問題として13種類の配線図が電気技術者試験センターからネット上に公開されており、この中から1種類が出題される。
後で勉強方法は詳しく紹介するが、はじめはとっつきにくく40分での作業完了は絶対無理では?と思うかもだが、繰り返し練習していくと、勝手に手が覚えているようになるので心配無用だ!
試験勉強について
ではここからは具体的な試験勉強のやり方について紹介しよう。
学科試験の試験勉強
学科試験の勉強方法のポイントを以下にまとめてみた。
学科試験の勉強方法のポイント
- 計算問題はオームの法則、直列・並列接続が分かれば十分
- 気に入った参考書を一通り目を通したら、後はひたすら過去問で勉強する
- 試験日の1か月くらい前から、配線図(技能試験目線)問題にも取り掛かる
①計算問題は捨てるのも手
最小の労力で試験に受かるためならば、計算の知識はオームの法則や直列・並列の知識だけで十分だ。
逆に言うと、これが理解できないとさすがに電気工事士として名乗るのもどうかと思うので、ココだけはしっかり理解しておこう。
と言っても、法則は決まり事なので、1+1=2と同じようにそういうものだと思って覚えるだけだ。
なぜこの程度の計算知識でいいのか?
学科試験は100点満点中60点とれば合格なのだが、計算問題は、たったの20点分しか配分されていない。
残りは全て暗記系なのだ。
つまり暗記系だけに集中投資するだけでも十分合格できるのだ。
なので、バリバリ理系で、もともと電気理論をある程度理解している人以外の方は、必要以上に計算にこだわらない方がいいだろう。
ちなみに私はバリバリ理系なので、、、過去問を解いている時に、計算問題もついでに解いていた。本番でも50問中44問正解だったので、まあそれなりに正解していたのだろう。
②参考書はこの一冊で十分
いくら多少の電気や物理の知識があったってこの試験に受かるためには参考書は必ず必要だ。
電気工事士の何たるかも工具名も工具の使い方も法令も知っているはずがないし。
私も最初は計算問題以外はチンプンカンプンだった。工具の微妙な違い(赤と黄色の色違いで用途が違うものもある)等覚えられるはずがないと思っていたが、参考書を何度も眺めていると不思議なもので勝手に頭が覚えていった。
使った参考書は下記の「すいーっと合格」一冊だけだ。
この本は視覚に訴えてくるように構成されているので、読み物としても面白く、非常にわかり易い。
ただし、ここで注意しておきたいことは、いくら参考書だけを繰り返し読んで理解できたと思っても、試験の点数はあるところまでしか取れないってことだ!
私も大学受験勉強時の名残で、参考書を繰り返し読む派なので、今回もそのように使っていたのだが、学科試験日の2カ月くらい前から過去問に手を付け始めたとき、微妙な問題感覚の違いに気づいた。
言葉では表現し難いのだが、参考書の内容は覚えているはずなのに、試験問題になるとどうも問題文の取り回しや設定に癖があるのでスッと入ってこないのだ。回答を見ると「あーこの問題だったのか!」って思うことが何度もあった。
加えて、過去問を上期・下期含めて3年分程度解いたところで、またまたあることに気づいた。
噂には聞いてはいたが、同じような問題もしくは全く同じ問題が、かなりの頻度で繰り返し出題されているのだ!
はっきり言って、過去問5年分だけやっていれば、本番でも多くの問題が見たことある問題になっていると思う。
第二種電気工事士試験対策は、早めに過去問に取り組むことが最重要ポイントである!
③学科試験日の1.5カ月前からは配線図問題もやる
学科試験にも配線図問題がある。
とはいえ、大部分は知識問題との複合問題になっているのだが、技能試験で配線図を複線図に書き直す際にも要求される知識でもあるので、併せて書き方をマスターしておこう。
遅くとも学科試験日の1.5カ月前くらいには着手しておきたい。
学科試験勉強方法のまとめ
これまでの学科試験の作戦をまとめるとこうだ!
学科試験に合格するための作戦
- 参考書は「すいーっと合格」一冊を何度も流し読みする
- ただし、いつまでも①をダラダラやり続けないで、できるだけ早めに過去問に取り掛かる
- 過去問は最低5年分(10年分やれば怖いものなし!)解き、ひたすら問題と解答に慣れて覚えてしまおう!
- 計算問題は得意な人以外は無理にやらなくてもOK
- ④でいいが、公式に数値を当てはめるだけの問題もあるので、それくらいは回答したい!
技能試験の勉強方法
おそらく実際に電気工事現場を見たり触ったりする機会がない方にとっては、技能試験の方が厄介に感じるだろう。
私も何の経験もなく、趣味のDIY程度だったので、一番初めに配線図と完成施工例を見た瞬間に、これは受かりそうにないかも?と思ったほどだ!
だが、よくよく考えてみると、問題はわずか13種類でしかも公表されているのである。
この配線図を複線図に書き直す方法を徹底的に覚えて、複線図通りに組み立て作業を行なえばいいわけで、、、それほど難しい試験ではないと考えを改めよう。
技能試験の勉強方法のポイントを以下にまとめてみた。
技能試験の勉強方法のポイント
- 候補問題全てにおいて、配線図から複線図に3分程度で書き直せるようにしておく
- きちんとした工具を揃える
- 技能試験材料セット一式を購入する(1周分(13課題)で十分)
- ネット動画配信を使って施工作業方法を確認する
- 試験日まで2週間を切ったら、工具使用感覚を鈍らさない
①配線図 → 複線図は3分程度で
配線図を複線図に素早く書き直せるようになれば、技能試験は8割方合格したようなものである。
初めはとっつきにくいだろうが、一定のルールを理解したあとは、機械的に線と点をつなぐだけの単純作業だ。
候補問題の中には、端子台を使った少々トリッキーなものもあるが、あまり深く考えずにそういうものだと思って配線を丸暗記するのがコツだ。
配線図→複線図への書き直しを3分で仕上げ、必要なケーブルの長さ、線の色、リングスリーブサイズの記入までを5分で完成させることができるようにしておこう。
②工具を揃える
工具がなくては戦えない。
きちんとした工具を揃えよう。
最低限必要な工具は下記だ。
第二種電気工事士試験で必要な工具
- プラス/マイナスドライバ
- ペンチ
- リングスリーブ用圧着工具(JIS C 9711:1982・1990・1997適合品)
- ウォーターポンププライヤ
- 電工ナイフ
- スケール
- ケーブルストリッパ:MUSTではないがあると非常に便利
イチイチ揃えるのが面倒な方は、以下のセットがネットで販売されているので、購入するのも良いだろう。
ただし、セット品はあくまでも試験対策用の工具になっているし、既に持っている工具もあるだろう。
私は③リングスリーブ用圧着工具、③ウオーターポンププライヤ、⑦ケーブルストリッパを新たに購入した。
このうち、上のホーザンのセット商品に含まれているものよりも、末永く実践で使える商品を以下にあげておく。
リングスリーブ用圧着工具
ホーザンセット商品はリングスリーブ(中)までしか対応できない小型タイプであるが、下記はリングスリーブ(大)まで対応している。
技能試験はリングスリーブ(中)までで間に合うのだが、末永く使うには(大)まであった方がいいだろう。
ケーブルストリッパ
セット商品にもホーザンオリジナルのストリッパーが含まれているが、これも試験対策に特化した商品なので、実践では使い難いと言われている。
下記に紹介した商品は、通称「ガッチャン」という工具で、プロの現場ではほぼ100%こっちを使っていると聞く。
当然使いやすく、また、試験時の施工スピードアップにも貢献してくれる優れものである。
私もガッチャンを入手してからは気分よく素早く施工できるようになった。この工具は本当にガッチャンっという音とともに、気分よく電線被覆剥がしができるのだ!これから購入するなら、間違いなくこっちの方がおすすめである。
やはり、使える工具を揃えるとガゼンやる気がでてくるので、工具選択は一発合格のためにも非常に重要な要素だと言えるだろう。
③技能試験用部品・材料セット一式を購入する
技能試験の練習は、一度も現物を触ることなく目で追って頭で組み立てても全く意味も効果もない。
このような方は、現物を目の前にした瞬間に戸惑うだろう。
理屈ではないのだ。とにもかくにも手を動かして実際にケーブルをカットしたり端子をつなげたりといった経験が絶対に必要なのだ!
全13種類を一回ずつ完成させることができるだけの部品材料一式を購入しよう。
これは下記のホーザンがおすすめだ。
施工例のハンドブックも付属しているので、とても役に立つ商品である。
季節物かつ一年物なので、技能試験一カ月前くらいになると在庫切れになっている場合があるので注意しよう!学科試験合格に自信があれば(もちろんあるだろう?)、学科試験の2か月くらい前から手元に揃えていた方が良いと思う。
ちなみに、2周分購入しようかと思っている方がいるかもだが、1周分で十分だ。
なぜならば、材料は再度分解して使い回すことができるからだ。
また、候補問題は全13種類といっても、基本は同じ単位作業の組み換えなので、5題目くらいになってくると十分に慣れてくる。
私も5題目くらいから、プロになったような気分でサクサクと手際よく作業できるようになった!
④ネット動画配信を使って作業方法を確認する
少々説明が前後するが、部品材料が揃ったら、施工練習に入りたくても、最初は何からやったらいいのか戸惑うだろう。
だが、世の中には独学を支援してくれる動画がたくさんある。
私もいろいろ見てみたが、一番わかり易いかったのはホーザン株式会社から提供されている動画だろう。
この動画サイトは学科試験対策も含めて、第二種電気工事士試験全体の対策を支援してくれているので、必ずお気に入り登録して何度も見返すといいだろう。
同会社の社員と思われる女性が、全13種類の候補問題について、配線図を複線図に書き直すところから施工完了までを丁寧に解説してくれている。
自分が受験した時の体験を語りながら、間違えやすそうなポイントも解説してくれているので、私たち独学者にはとても助かる。
実際の施工問題に入る前に、単位作業練習を何度も反復することがポイントだ!
ホーザンの動画にも単位作業に特化したサイトがあるので、最初はココを見ながら練習するといいだろう。
全ての単位作業ができるようになったら、全13種類を一つずつ攻略していこう!
⑤工具の感覚を鈍らさない
④で一通り13種類の候補問題を施工し終えたら、かなり合格への自信が高まっているだろう?
おそらくこの時点で技能試験日まで2週間を切っているのではないだろうか?
残りの2週間の過ごし方を紹介しよう。
技能試験まで残り2週間の過ごし方
- 工具の感覚を鈍らせないように1回/2日以上工具を使う時間を作る
- 候補問題の配線図→複線図の練習を繰り返す
- ②の複線図を見て、施工手順を頭の中でイメージして組み立てる
日常的に電気工事関係に従事していない我々にとって、①工具の感覚を鈍らさないことは意外と重要だと思う。
単位練習でもケーブルを切断したり被覆を剥くだけでもいいので、できれば毎日、最低でも1回/2日、1回あたり5分でもいいので、工具を使って感覚を鈍らさないようにしておこう。
また、本番に備えて、候補問題を複線図に書き直したら、どのように施工していくかを具体的に頭でシミュレーションして完成させるのも効果的だ。
最初に、技能試験の練習を頭でやるのは意味も効果もないと書いたが、すでに実践練習が完了しているこの時点でのシミュレーションは意味も効果も大ありだ。
試験当日
ココまで紹介した内容をやりきった方にとって、試験当日は自信満々だろう?
私は試験が待ち遠しかった!
私が受験した会場は、とある私立大学の大ホールのようなところで、3人掛けの長テーブルの両端に一人ずつ座るように設定されていたので、想像よりもかなり狭いスペースだった。
なので、狭いスペースで作業練習しておくことをおすすめする!
試験開始前に5分間程度、配布された部品材料の点数確認時間があるので、この時点でどの候補問題か大まかに頭に浮かんでくるはずだ。
試験開始前までにどのように組み立てていくか?の作業段取りを頭でシミュレーションしておこう。
このために最後の2週間で頭の中で施工シミュレーションの練習をしてきたのだ!
試験開始後は落ち着いて、練習の時よりもずっと慎重に作業していこう!
前後左右に同じく受験者がカチャカチャ作業しているので、他の人の作業スピードが気になるかもだが一切無視しよう。
施工失敗時のやり直しは、時間的にも精神的にも一番きついので、時間がかかっても絶対に間違わないように一つ一つ確認しながら施工した方が良い。
私は候補問題の練習では、最終的には15分くらいで完成できるようになっていたのだが、本番では35分間タップリ費やして施工完了した。思ったより時間がかかっていたので、最後の方はチョットだけ焦ったが。
独学が難しそうな方へ
本記事では、独学で第二種電気工事士試験に合格した筆者が、実際に試験勉強や受験時に感じたことを紹介してみた。
本記事で何度も書いているように、第二種電気工事士試験は独学で十分合格することができる国家資格試験である。
ただし、独学にはそれなりの強い意思と信念が要求される!筋トレの継続と同じだ!
どうしても途中で挫折しそうな方や、イチイチ自分で教材を選ぶのが面倒な方、多少お金を払ってもいいからマルっと与えられた教材で勉強したいという方は、通信教育を受講する手もある。
特にユーキャンの通信教育は、テキストが非常にわかり易く、大きな助けになるだろう。
ユーキャンの通信講座は、私もファイナンシャルプランナーの資格勉強でお世話になったことがある。
また、技能試験用の部品材料一式や施工を解説したDVDも付属しているので、オールインワンを望む方はユーキャンを使って受講するのももちろんアリだろう。
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最後に
念願の第二種電気工事士の資格を有したことで、趣味のDIYでやや複雑な電装系にもチャレンジしてみたい。
自宅でのソーラーパネル発電計画の規模を拡大させ、常設給電システムに改造しようかと思案しているところだ。
DIYの楽しみは尽きない!
これから受験を考えているあなたも、是非本記事を参考にして一発で確実に合格をつかみ取っていただきたい!
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